1: 2020/04/29(水) 14:41:39.05
マッコーリー大学(オーストラリア)の海洋生物学者ヴァネッサ・ピロッタ博士は、シドニーの沿岸で彼女の乗る船に向かって接近してくる光る物体を目撃した。
それはイルカだった。鮮烈な青の光を放つイルカが、後方に波となって描かれた舟跡を辿って泳いでいたのだ。

だが、これはイルカ本体が発している光ではない。海洋性のプランクトンで「渦鞭毛藻」の一種である夜光虫(ヤコウチュウ)が化学反応を起こした結果、まるでイルカが光っているように見えたのだ。
渦鞭毛藻は捕食者に警告を出すために生体発光する。だが水がかき乱されたときも同じような反応を見せることがある。ピロッタ博士が目撃したのは、イルカが刺激したことで光った渦鞭毛藻だった。
つい最近では、アメリカ、カリフォルニア州ニューポートビーチの沖合でも青い光に身をまとったイルカが泳ぐ姿が発見された。
夜光虫の光は、他の生物発光と同様、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応によるものだ。物理的な刺激に応答して光る特徴があるため、波打ち際から特に明るく光る様子を見る事ができる。ジャービス・ベイやタスマニアなどは、そうした壮麗な光景で有名だ。
夜光虫は代表的な赤潮形成種であるが、海水中の栄養塩濃度との因果関係は小さく、毒性もないため、被害はあまり問題にならないことが多いという。
光害の影響で減少傾向にある青い光のショー
ところが、夜の青い光のショーは減少傾向にあるようだ。人工的な照明による光害が夜を異常に明るく照らしてしまい、海の生態系のリズムを狂わせているというのだ。
光害は陸上の生態系を乱す原因としてはよく知られている。2月に発表されたある研究によれば、人工的な光には陸生の生体発光種を絶滅に追いやる危険があるという。
たとえば、ホタルが生息数を減らしている最大の理由は生息地の破壊だが、その次に危険なのが光害であると指摘されている。
人工的な光が海洋の生態系を狂わせる
海に差し込む人工的な光には一時的なものと(通過する船など)、恒久的なもの(沿岸都市や石油プラットフォームなど)がある。困ったことに、都市の光は大気の中で拡散したり、雲に反射したりするために、より遠くまで届く。
こうした光によって闇が失われてしまうと、概日リズムのある生物に大打撃をもたらすことがある。
たとえば、ウミガメの営巣行動を変化させたり、孵化してから海を目指す子ガメの方向感覚を乱し、生存率を下げることが知られている。

ほかにも、代謝の撹乱に起因する体重増加、魚の群れの採餌活動の阻害、肉食魚の捕食時間の変化、クマノミの繁殖活動の低下、海洋無脊椎動物の構造組成の変化など、もろもろの影響が観察されている。
エサとなってさまざまな種を支えている動物プランクトンの場合、1日のうち周期的に潜ったり浮上したりしている。
これは魚に食べられることを回避するための行動で、普通なら夜は水面付近に浮上する。ところが、人工的な光のせいで夜が明るくなりすぎると、こうした行動のパターンが変化する。
すると、それをエサにしている捕食種の移動パターンにも影響し、やがては海洋の食物連鎖すら変わってしまう恐れがある。海洋生物の効率的なエネルギー移動のダイナミクスが様変わりしてしまうということだ。
光に脆弱な北極の海洋生物
北極で行われた2016年の研究によると、大気の光が届かなくなり、生物の生体発光の光が優勢になる深さは、海面から30メートル下であるという。
このことは北極の光にわずかにでも変化があれば、生物が水面まで浮上してくるタイミングに影響があるだろうことを意味している。
明るすぎれば、そうした生物は深いところに留まろうとし、結果としてエサを食べる時間が短くなってしまう。
海にはまだ完全な暗闇が残っているが、それも年々減りつつある。光るイルカの群れは、残された闇を守らねばならないという警告だとピロッタ博士は語る。
https://youtu.be/Je1B3Xt5-lM
http://karapaia.com/archives/52290307.html
それはイルカだった。鮮烈な青の光を放つイルカが、後方に波となって描かれた舟跡を辿って泳いでいたのだ。

渦鞭毛藻は捕食者に警告を出すために生体発光する。だが水がかき乱されたときも同じような反応を見せることがある。ピロッタ博士が目撃したのは、イルカが刺激したことで光った渦鞭毛藻だった。
つい最近では、アメリカ、カリフォルニア州ニューポートビーチの沖合でも青い光に身をまとったイルカが泳ぐ姿が発見された。
夜光虫の光は、他の生物発光と同様、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応によるものだ。物理的な刺激に応答して光る特徴があるため、波打ち際から特に明るく光る様子を見る事ができる。ジャービス・ベイやタスマニアなどは、そうした壮麗な光景で有名だ。
夜光虫は代表的な赤潮形成種であるが、海水中の栄養塩濃度との因果関係は小さく、毒性もないため、被害はあまり問題にならないことが多いという。
光害の影響で減少傾向にある青い光のショー
ところが、夜の青い光のショーは減少傾向にあるようだ。人工的な照明による光害が夜を異常に明るく照らしてしまい、海の生態系のリズムを狂わせているというのだ。
光害は陸上の生態系を乱す原因としてはよく知られている。2月に発表されたある研究によれば、人工的な光には陸生の生体発光種を絶滅に追いやる危険があるという。
たとえば、ホタルが生息数を減らしている最大の理由は生息地の破壊だが、その次に危険なのが光害であると指摘されている。
人工的な光が海洋の生態系を狂わせる
海に差し込む人工的な光には一時的なものと(通過する船など)、恒久的なもの(沿岸都市や石油プラットフォームなど)がある。困ったことに、都市の光は大気の中で拡散したり、雲に反射したりするために、より遠くまで届く。
こうした光によって闇が失われてしまうと、概日リズムのある生物に大打撃をもたらすことがある。
たとえば、ウミガメの営巣行動を変化させたり、孵化してから海を目指す子ガメの方向感覚を乱し、生存率を下げることが知られている。

エサとなってさまざまな種を支えている動物プランクトンの場合、1日のうち周期的に潜ったり浮上したりしている。
これは魚に食べられることを回避するための行動で、普通なら夜は水面付近に浮上する。ところが、人工的な光のせいで夜が明るくなりすぎると、こうした行動のパターンが変化する。
すると、それをエサにしている捕食種の移動パターンにも影響し、やがては海洋の食物連鎖すら変わってしまう恐れがある。海洋生物の効率的なエネルギー移動のダイナミクスが様変わりしてしまうということだ。
光に脆弱な北極の海洋生物
北極で行われた2016年の研究によると、大気の光が届かなくなり、生物の生体発光の光が優勢になる深さは、海面から30メートル下であるという。
このことは北極の光にわずかにでも変化があれば、生物が水面まで浮上してくるタイミングに影響があるだろうことを意味している。
明るすぎれば、そうした生物は深いところに留まろうとし、結果としてエサを食べる時間が短くなってしまう。
海にはまだ完全な暗闇が残っているが、それも年々減りつつある。光るイルカの群れは、残された闇を守らねばならないという警告だとピロッタ博士は語る。
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